オリンピックから除外されかけた、伝統競技・レスリング/オリンピック関連コラム
2013年3月12日に、スイス・ローザンヌで開かれた、
国際オリンピック委員会(IOCの)理事会での決定は、
レスリング関係者の間に衝撃が走った。
前年の、2012年のロンドン五輪で実施した、26競技の内、
『レスリング』 を除外した、25競技を、「中核競技」 に、決定したからである。
これにより、レスリングは、残りの1枠を、他の7競技と争うことになった。
国際レスリング連盟(FILA)の副会長を務める、
日本レスリング協会の、福田富昭会長は、この決定に驚き、
IOCからの明確な説明もないため、戸惑っていたという。
日本のお家芸として知られるレスリングの除外は、
「レスリングは日本が強いから、嫌がらせで除外された」
などと騒がれた。
しかし、この指摘は、女子においてこそ当てはまるが、
現在の男子は、圧倒的な強さはないため、当たらない。
オリンピックの実施競技は、世界的な普及度や、テレビ放送の視聴者数、
チケット売上や、ウェブアクセスなどの注目度、スポンサー収入など、
39項目を分析した報告書を基に、IOC理事会で決められる。
しかし、近代オリンピックの第1回目から実施されてきた、
伝統的な競技である、『レスリング』 は、外されるはずがないと、
誰もが思っていただろう。
レスリングは、古代オリンピックでも実施された記録が残る、陸上競技と並ぶ、
伝統競技中の伝統競技であるため、そう思うのも当然のことであった。
2012年のロンドン・オリンピックでの評価報告では、
レスリングは。人気度や国際レスリング連盟の体制面、
14対4という、男女別種目数の不均衡などで、低評価だったためだとされていた。
これを受けて、危機感を持った国際レスリング連盟は、男女の種目数均衡化や、
2/3ピリオドのトータル・ポイント制を導入する、ルール改正などを断行。
2013年9月8日に、ルゼンチン・ブエノスアイレスで行なわれた、
IOC総会での評決で、2020年夏季オリンピック、
2024年夏季オリンピックへの残留が、決定した。
商業化が進むオリンピックは、”X Games” などの、
若者に人気のあるスポーツの導入に積極的であり、
伝統競技でもあっても、安穏としていられれな状況が続きそうだ。