オリンピック関連コラム! 〜体操に革命を起こした、”月面宙返り”〜
オリンピックの、『体操競技』 で、今でもよく聞く、「月面宙返り(ムーンサルト)」。
月面宙返りが初めて披露されたのは、1972年のミュンヘンオリンピックで、
成功させたのは、日本人の塚原光男である。
ただ、「月面宙返り(ムーンサルト)」 は、正式な技名ではない。
正式な技名は、初めて実施した選手の名前から取った、「ツカハラ」 であり、
技の詳細は、「後方かかえ込み2回宙返り・1回ひねり下り」 であり、
鉄棒の下り技だけに適用される。
ミュンヘンオリンピックの、体操団体・鉄棒の自由演技で、
塚原光男が成功させると、会場は拍手が鳴り止まなかった。
得点は、”9.90” を獲得して、日本団体の金メダル獲得に、
大きく貢献する演技となった。
塚原光男は、種目別の鉄棒でも、金メダルを獲得している。
塚原光男が、「月面宙返り(ムーンサルト)」 を、
開発したきっかけとなったのは、トランポリン練習だった。
空中で回転する感覚を養うために、ミュンヘンオリンピックの前年、
トランポリンに挑戦した塚原光男は、宙返りと、1/2ひねりを行う、
「ハーフイン・ハーフアウト」 という技に出会う。
その時、トランポリンの滞空時間と、鉄棒の下り技の滞空時間が、
ほぼ同じことに気付き、閃いたという。
披露した当時は、「神技」・「宇宙遊泳」 などと言われ、
その後に、ローマオリンピックの金メダリスト・竹本正男が、
「月面宙返り(ムーンサルト)」 と命名したと言われている。
「ツカハラ」 は、「後方かかえ込み2回宙返り・1回ひねり下り」 のみだが、
「2回宙返り・1回ひねり」 なら、「月面宙返り(ムーンサルト)」 と呼ばれている。
「月面宙返り(ムーンサルト)」 は、
すぐに他の選手が真似をするようになり、鉄棒以外でも実施されるようになった。
その進化技も開発され、その1つが、ひねりを増やした、
「新月面宙返り」 と呼ばれる、「2回宙返り・2回ひねり」 だ。
ゆかや平行棒でも、「月面宙返り(ムーンサルト)」 や、
「新月面宙返り」 をするのが当たり前になり、抱え込みより、
難易度が高い伸身で行うなど、進化を遂げている。
伸身でひねりを、3回にした、「後方伸身2回宙返り・3回ひねり」 を、
ゆかで行った時の技名は、「シライ3」 で、現在、ゆかでの最高のH難度の技になっている。
この技を初めて実施したのは、白井健三であり、
ゆかでは、3つ目の新技であるため、この技名になっている。
「月面宙返り(ムーンサルト)」 に始まった、
宙返りにひねりを加えた技は、今も進化を続けているのだ。