オリンピック関連コラム! 〜男女が区別されない、唯一のオリンピック競技・馬術〜
オリンピックの競技は原則として男女別に競われる。
例外は、男女ペアで行われる競技で、
夏季オリンピックでは、テニスやバドミントンの、ミックスダブルス、
冬季オリンピックでは、フィギュアスケートのペアと、アイスダンス、
カーリングの、ミックスダブルスがある。
そして唯一、男女が区別なく競う競技がある。それが、『馬術』 である。
現在は、
「馬場馬術」、「障害飛越」、「総合馬術」
の、3種目が実施されており、
それぞれ、個人と団体で競われているが、全て男女の区別なく参加することができる。
また、人間以外の動物が、唯一参加する競技でもある。
(『近代五種競技』 でも、馬術が行なわれている)
ただ、馬術も、1948年のロンドン・オリンピックまでは、男子のみが参加する競技であった。
しかも、参加資格があったのは、騎兵隊将校のみで、
女子の参加が認められたのは、1952年のヘルシンキ・オリンピックからであり、
騎兵隊将校以外の参加も、認められるようになっている。
馬術で騎乗する馬は、自馬を使用するため、オリンピックの競技場まで輸送される。
(近代五種競技の馬術は貸与馬)
今は、もちろん飛行機での輸送で、馬を輸送するための、
特別の装備を施した貨物機で運ばれた。
馬は、個室のカーゴの中で、長時間フライトを過ごし、
食事として、乾草と水が用意されている。
もちろん、大事な馬であるため、
訓練を受けたスタッフと獣医師が同乗して、大切に運ばれた。
馬術は、伝統的にヨーロッパの国が強いが、
日本が金メダルを獲得したことがある競技でもある。
それは、戦前のことで、1932年のロサンゼルス・オリンピックの、
「馬術・障害飛越個人」 で、愛馬ウラヌス号と共に金メダルを獲得したのが、
西竹一帝国陸軍中尉(当時)である。
西竹一中尉以降、日本のメダル獲得はなく、
馬術での唯一のメダルとなっている。
男爵の家に生まれ、父の跡を継いで男爵であった西竹一中尉は、
オリンピックでの優勝によって、「バロン西」 と呼ばれ、欧米の社交界で人気者となった。
しかし、太平洋戦争では、硫黄島の守備隊に参加して、戦死。
戦死の一週間後には、後を追うかの如く、愛馬・ウラヌス号も亡くなったという。