アカデミー賞名場面!〜奇跡の同点・ダブル受賞〜
全世界で注目の的となるアカデミー賞だが、その選考対象は、
「1年以内に、ロサンゼルス地区で上映」 された作品と、
かなり狭い範囲のものであることは、意外と知られていない。
アメリカの、映画産業従事者の団体である、
映画芸術科学アカデミーの会員が、無記名投票を行い、
それぞれの受賞者が決まるのだが、その投票数は、3000を超えるものだ。
「事実は小説より奇なり」 とは、昔から言われることわざだが、
たった一度だけ、票を分け合った、奇跡の同点ダブル受賞があった。
1969年に行われた、第41回アカデミー賞・主演女優賞授賞式の出来事で、
・『冬のライオン』、キャサリン・ヘプバーン
・『ファニー・ガール』、バーブラ・ストライサンド
が、同点で選ばれたのだ。
出席していたバーブラは、子供の頃からの憧れである、
キャサリンとのダブル受賞を素直に喜んでいたが、
プライバシーを人前に晒さないことで有名だったキャサリンは、
この時点で、前人未到の3度目のオスカーに輝いたにも関わらず、
自宅のテレビで、受賞式の模様を眺めていたそうだ。
バーブラは、その後、歌手としても成功を収め、
関わったあらゆる媒体で、数多くの賞を総なめにするなど、成長を遂げる一方、
ユダヤ系アメリカ人として、自分の政治姿勢を鮮明にしていたことから、
多くの脅迫を受けるなど、話題の多い女性である。
キャサリンは1981年、ヘンリー・フォンダの遺作、『黄昏』 で、
自身の記録をさらに伸ばす、4度目の主演女優賞を獲得する。
もちろん、授賞式には出席しなかった。
己の信念に基づき、未来の女性像を切り拓いた、
2人の女優が、奇跡の同点ダブル受賞を勝ち取ったことは、
決して偶然ではないのだろう。
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